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2009年02月27日

みんななかよし 第四話『ユーサンを尾行せよ!』(6)

みんななかよし 第四話『ユーサンを尾行せよ!』(6)

                                           文:すーさんの永遠のライバル
                                           絵:A氏

 普段のユーサンは白い執務服を着ているが、今は胸元に銀の刺繍あしらわれた黒い服を着ている。
 そしていつもは結わいている髪も、結わかれておらず、まっすぐ垂れている。
 手には紅茶のカップではなくワイングラス。
 それほどまでにいつもと違っていたが、その人物がユーサンとわかるのにそれほど時間はかからなかった。

4−6.jpg

「こんばんは、ユーサン様、まさかここでお会いできるとは思いませんでした」
「ユーサン殿、お会いできて光栄です。私、この町で貿易商を営んでいる……」
「ユーサン様、今宵の夜会、わたくしと踊っていだたけませんか?」
「ユーサン様…」
「ユーサン殿…」
 周囲には次々に女性がやってきて、あっという間に人垣が出来、その色とりどりのドレスの向こうにユーサンは見えなくなってしまった。
「いたねえー」
「いただろう?」
 二人は目を合わせてにっこり微笑んだ。
「あ! ワルツ…」
 音楽隊の音が一段と華やかになり、タキシードを着た男達がそれぞれお目当ての女性たちへと声をかけ始める。
「ユーサン、誰かと踊るのかなあ……。お城の舞踏会はあんまり踊っているの見たことないけど……」
「舞踏会の時は仕事が忙しいからな……って、おい、姫、あんまり出過ぎんなよ。見つかるぞ!」
「わかってるー!」
 そう言って、女性の中にいるユーサンを見ようと姫はリュウから少し離れ、あっという間に人の波にのまれてしまった。
「お、おい、姫!」
 駆け出そうとしたリュウの視界を、ふわりと黒い羽扇子が覆った。
「あら〜この坊やかわいいじゃな〜い?ねぇ、おねーさんたちとちょっとお話ししなーい」
「どれどれ〜? やだ!ほんと!若いわねぇ〜」
ほろ酔い気分のお姉さん達がリュウを取り囲む。
「ねえ、君いくつなの?」
「どの伯爵の弟なの?」
 大きく胸元の空いたカットドレスとスパンコール、アルコールと混ざった甘いフレグランスがリュウの鼻先をくすぐる。
「いや、あの、ボクはその………」
目のやり場に困ったリュウがしどろもどろでそう言葉を紡ぐ。
「やだー、ボクだってー。かわいい〜」
 ぐりぐり、女性の手がリュウの頭をこねくり回す。
「ちょっとー、あんまりいじっちゃ、かわいそうよー」
「いいじゃな〜い。ねぇ、ボクいくつなの〜?」
 ぐりぐりと頭を撫でられて、リュウはその手を振りほどけない。リュウはいつもの勢いがまったく感じられない程困惑していた。
「じゅ、じゅうろくです……」
「うっそー! 16? 16歳なのー」
「わっかーい、かわいいー!!」
「男の子だけど、肌だってつるつるだし、なんか、良く見ると顔もきれいよね―坊や」
 ずい、顔が近づいてきて、リュウはその場で真っ赤になる。
「いや、ボ、ボクは用事があるんで……」
 じり、と一歩下がるが、お姉さん達は離してくれそうもなかった。

                                                        つづく                                      
                   
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posted by (有)すークリエーション at 12:58| 東京 霧| Comment(0) | TrackBack(0) | みんななかよし(小説) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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