文:すーさんの永遠のライバル
絵:A氏
洞窟は魚の口のようにぽっかりと大きな口を開けていた。
そして、中からは一定の間隔で空気が、出たり、入ったりしている。
「なんだか、ちょっとひんやりするね、風」
そう言って、ケッピ姫が手に息を吹きかけた。確かに洞窟の中からふいてくる風は湿っぽく少し冷たかった。
「ほれ、これ着とけよ」
自分のボレロを姫にひっかけて、リュウが先に進んでいく。

「わあ、ありがとう。いいの? リュウくん寒くないの?」
「ん……まぁな。暗いから、足元気をつけろよ」
耳のあたりをちょっとかいて、ぼそっと答えると、リュウは姫の方を見ずにどんどん進んでいく。
「わ、わ、ちょっとまってよー」
先へ進むリュウの背中を姫は一生懸命に追いかけた。
暗い洞窟の中、リュウが魔法で出した薄ぼんやりとした光の球の明かりだけをたよりに進んでいく。
中は広く、空洞になっている。少し進むと上部にいくつか穴が開いていて、そこから天井の光が帯になり降り注いでいた。
「わあ、見て、リュウくん。ひだまりだあ…」
光の帯の下に立って姫がリュウを振り返る。
光に反射する金髪と春の空のような澄んだ青い目が、くりくりとリュウを見つめた。
「すげー。……きれいだなー」
ボーッと何かに見とれるように、そう感想を漏らすリュウ。
兵士達が大勢入ってもまだ余裕のある大きな空洞。それはその広さのまま、ずっと続いていそうだった。
「ねえ、リュウくん…」
陽だまりの下で姫がおいでおいでをする。
「な、なんだよ」
その言葉に我に返ったリュウが、姫の方へ向かう。
「ね、なんか聞こえない?」
「何が?」
「ほら、なんか、声…」
耳を澄ます姫が、リュウの肘を下から上に押しやり、同じように耳を澄ませとせかした。
「声?」
二人で耳を澄ますと。
「…がんばれー」
「ひゃっほー」
「ゴール!」
小さな声が確かに聞こえた。
「なんの声だ?」
首をかしげるリュウの、袖がぐいと引っ張られた。
「リュウくん!こっち、こっちから聞こえるよ!」
「おいおいおい、あぶねーって!」
声のする方に転がるように駆けて行く姫を、今度はリュウが追いかけた。
つづく







・・・うん。いい
毎週更新していきますので、
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